武田クリニックメールマガジン 第203号
2012.01.30
木島医師より
皆さん、毎日の食事でお魚はどのくらい食べますか?
お魚を食べる事と、心筋梗塞や脳梗塞といった心血管イベントについてお話します。
まず、脂肪酸についてのお話です。
脂肪酸は大きく「飽和脂肪酸(バターや卵など多く含まれる動物性の脂肪酸)」と、
「不飽和脂肪酸」に分類されます。
さらに不飽和脂肪酸は、オレイン酸などの一価の不飽和脂肪酸と、
多価不飽和脂肪酸に分けられます。
そしてさらに、多価不飽和脂肪酸はω-3系とω-6系とに分けられます。
ω-3系不飽和脂肪酸は、エイコサペンタ塩酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)、α-リノレン酸などで、
中性脂肪やLDLコレステロールを低下させ、動脈硬化を抑制する働きがあります。
ω-3系の摂取量が多い人では、少ない人よりも冠動脈疾患および心筋梗塞の発症リスクが
低下しているという結果があります。
ω-6系にはリノール酸、アラキドン酸(AA)などの脂肪酸があり、血管収縮、血小板凝集、
白血球遊走、白血球凝集などの作用を介して高血圧、動脈硬化の原因となるといわれます。
動脈硬化性疾患の患者さんでは、
血液中のエイコサペンタ塩酸(EPA)とアラキドン酸(AA)の
比率=EPA/AA比が低いといわれます。
ω-6系は植物油や動物性脂肪に多く含まれ、
ω-3系は魚介類に多く含まれます。
エイコサペンタ塩酸(EPA)は、鯖やまぐろ、まいわしなどの
青身魚に多く含まれています。
(100g中に含まれるEPAの量としては、鯖1600mg、
まぐろ1400mg、まいわし1200mg)
お魚を食べる頻度と、頭部MRI検査所見の関係を調べた研究では、
お魚を多く食べるほど、無症候性脳梗塞が少ないという報告があります。
成人では少なくとも、1日1g以上は摂取することが望ましいとされています。
最近では医療機関でEPA製剤を処方されることもありますが、
まずはいつもの食事でお魚を取るよう習慣つけてみましょう。