武田クリニックメールマガジン 第186号
2011.05.14
看護師 三谷より
5月になり、とても過ごしやすい陽気になりました。こんな時こそ、運動を開始するよい機会です。そこで、今回は運動について少しお話したいと思います。運動療法によって得られる効果はどのようなものがあるか、以下にまとめてみたいと思います。
1. 血糖値を下げる効果
→運動時のエネルギー源として血糖を使います。
インスリン量が節約でき、膵臓の負担を軽減します。
2. 体重を減らす効果
→運動時のエネルギー源として脂肪も使います。
また、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールを減らし、
動脈硬化を予防する善玉コレステロールが増えてきます。
3. 心臓や肺の働きを強化する効果
4. 血圧を下げる効果
5. 足腰など下肢の筋力を強くして、老化を予防する効果
6. 血液の循環をよくする効果
7. ストレス解消など気分転換の効果
8. 体力がついて動きが楽になるため、日常生活が快適になる効果
などがあります。
運動をはじめたら、最低15分~20分は続けることが効果を高める秘訣です。時間帯は、血糖が1番高くなる食後1~2時間以内が最適でしょう。運動の効果は翌日くらいまで持続するので、体調や天候の悪い時は、休んだり1日おきにしても、インスリンの効き目を高める効果は持続します。
無理して毎日続けるより、長く続けることのほうが大切です。運動はさまざまな治療効果を高める反面、低血糖を引き起こす原因になったり、病状を悪化させてしまう場合があります。
糖尿病のさまざまな合併症、とくに増殖網膜症など進行性の網膜症、血清クレアチニンが高いなど進行した腎症、自律神経障害がある場合は、かえって症状を悪化させることがあります。主治医の判断と指示に従うようにしましょう。
また、インスリンや血糖降下薬を使っている人は、必ずブドウ糖やペットシュガーなどを持参するようにしましょう。あと数ケ月もすると暑くなり、運動がしにくい時期になります。ぜひこの時期に運動を開始し、運動の習慣をつけてみてはいかがでしょうか。